2010年06月23日

ヒット商品が誕生するまでの過程を調査!

皆さんご存知のカップメン。
今でこそインスタント食品のスタンダードとして年間82億食が消費されていますが、
開発過程には大きな苦労が伴い、発売時もなかなか売れませんでした。
 
チキンラーメンを開発し、大きく成長した日清食品。
しかし、後続のメーカーが次々と現れ、しのぎを削る戦争状態に。
消費者の頭打ち、値崩れ。
日清食品も業績の伸びが止まり、夏の間は給料は4割カット、製造ラインがたびたび止まり、1100人いた従業員は800人に減りました。
 
そんな危機の中、販路を海外に求めて社長の安藤百福はアメリカへ飛びました。
 

【カルチャーショックがカップ麺を生んだ】
アメリカでチキンラーメンのプレゼンテーションをしていると、アメリカ人のバイヤーから質問が投げかけられました。

「その食べ物はどの様な器に入れて食べればよいのですか?」
アメリカには”どんぶり”が無く、日本のラーメンのようなスタイルで食べる文化がありませんでした。
しかしそのバイヤーは、チキンラーメンの乾燥麺を手でボキっと割り、それをコーヒーを飲むマグカップに入れて熱湯を注ぎ、フォークで食べはじめたのです。
 
即席麺の国際化を志していた安藤氏にとって、この光景は衝撃的だったようです。
「箸やどんぶりを前提に考えていてはいけない」その思いを胸に抱き、専用容器入りのインスタントラーメンの開発を決めたのです。


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【容器の開発】
まず容器を開発するにあたって、

「容量はどんぶり一杯分」
「お湯を入れても手に持てること」
「深さがあること」

がポイントでした。
開発部隊は、試作品を作ってはボツにされることを繰返しながら、社長命令である

「見た目の安定感」
「実用上の安定感」
「オシャレであること」

をコンセプトとし、今でこそ当たり前になりましたが、当時としては斬新な「ラーメン=どんぶり」の固定観念
を覆す、カップ麺の容器の形が完成しました。


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【麺の開発】
麺の開発は多難を極めました。

ポイントは
「味付メンであること」
「チキンラーメンとは全く別の味を作ること」
「容器に合わせたメンであること」

で、特に容器に合わせたメンを作ることはとても難しかったそうです。
容器の金型にメンを詰め油で揚げるのですが、油の温度を調節し何度やっても中が半生であったり、外が黒こげになりました。
突破口になるヒントとなったのは「てんぷらの調理法」でした。

てんぷらは具を油に投入すると底に沈み、食べごろになると浮かび上がります。
金型にメンを目一杯入れていたのを、浮かび上がるためのスペースを作り、揚げることで、中までしっかり揚がったメンが完成しました。
開発者は長い開発期間中、一日に10〜20食の試食をし、自宅での料理が喉を通らなかったそうです。


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【具の開発】
具の開発では、エビを取り入れることが多難を極めたそうです。

豪華さが感じられる食材として、真っ先にエビが挙げられたのですが、殻を剥いても身が赤く、更には凍結乾燥をしてもその色が保たれる素材を探さなければなりませんでした。
世界中で2500種類ほどあるエビの中で、その条件を満たすものになかなかめぐり合うことができず、諦めかけた時に偶然バーで頼んだシュリンプカクテルの身の色味が目に留まり、インド洋に生息する「ブーバラン」という素材がマッチしたそうです。


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【営業の苦闘】
カップヌードルの価格設定は当時100円でした。当時、袋に入ったチキンラーメンが25円で、100円はその4倍にあたります。
今でいえば、320円とか、350円とか、そういった価格帯です。
その価格帯がネックとなり、食品問屋をはじめ娯楽施設等では門前払いにされたそうです。


そこで、カップヌードルの販売ルートの開拓を専門に行なう部署を社長直属で設置し、さまざまな組織に営業をかけていきました。
100円という高価格に、あまり敏感ではなかった百貨店をはじめ、自衛隊、警察、警備会社にパチンコ屋、テレビ局など、どこも夜勤があったり、現場での作業があったりで、手軽に食事を済ませる必要のある職場です。


更に、発売直後に銀座の歩行者天国で大規模な直接セールを実施。
大きな話題となり、回を重ねるごとに販売数は激増し、一日に数百万円を売り上げるまでになりました。

更に知名度を一気に全国区にする事件『あさま山荘事件』がきっかけとなり、当時すでに警察機動隊にカップヌードルを納品していたため、事件の現場でカップヌードルを食べる機動隊員の姿がテレビニュースで度々放映されました。
その模様を見た各県警やテレビ局からもカップヌードルの注文が殺到して話題となり、カップヌードルは不動の人気を獲得するに至ったのです。
posted by Factory-ONE 電脳工場 メールマガジン編集者 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 突撃取材