2011年04月27日

大阪府堺市にある森本刃物製作所様に行ってきました

今月の体当たり企画は、大阪府堺市にある森本刃物製作所様に行ってきました。
通商産業大臣認定伝統工芸士 森本光一様が代表を務める森本刃物製作所は、刃物を研ぐ、心を研ぐ、堺の研ぎ屋さん。
昔ながらの製法を大切にしつつ、職人用和庖丁からナイフなど1本1本鋼から鍛冶で成形した生地を砥石で丁寧に研ぎ、心を込めて堺刃物を作っています。
今回はその一流の刃物つくりについて、森本は者製作所代表の森本光一様に色々とお話をうかがってまいりました。
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Q、大阪府の伝統的工芸品の堺打刃物には600年以上の歴史があるそうですが、何故堺に優秀な職人が集まったのでしょうか。

A、堺の町は、古く縄文時代から始まり仁徳陵古墳などが築造された古墳時代を経て、安土桃山時代には中世自由自治都市として繁栄しました。
また、室町時代から江戸時代初期、旧堺港を中心とした国内および海外との交易で栄え、豪商による自由都市として発展近世にかけて鉄砲、刃物鍛治を中心とする産業を育みました。
1600年程前、種子島に鉄砲が入ってきて、それと同時に煙草も入ってきました。
そこで煙草を切る庖丁を堺の職人に作らせたところ、非常によく切れたので当時の幕府がそれを専売にして全国に売りに歩かせたのがきっかけという一説もあります。
その一方、堺は鉄砲もつくっていたが、時代が流れるにしたがって世の中が平和になり、鉄砲職人の仕事が減ったころに鍛治の技術を刃物製造に使わせたところ、非常に優秀だったので・・という一説もありますが、きっと鉄砲を製造していた鍛治の技術は(堺は自転車の製造でも有名なので)自転車製造のほうへ流れていったと私は思います。
自転車のパイプを製造する鍛治の技術は、鉄砲の筒を製造する技術に非常に近いので恐らくそうだと思われます。
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Q、刃物の生産地は日本全国にあり、生産地によって性質、種類も多種多様とのことですが、同じ刃物で何故そのように種類が豊富になっていったのでしょうか。

A、刃物の産地にはそれぞれ、その土地柄に求められる技術があります。堺の刃物は料理庖丁として認められた歴史を持っています。
板前さんや料理人さん、いわゆるプロを相手に庖丁を作ってきましたので、一般家庭で使われるものよりも高い品質を要求され続けた経緯もあって、上質な料理包丁の産地となりました。
国内の料理包丁のシェアでは70〜80%を占めています。
ただ量産という面で堺は力をいれずに昔ながらの製法を守ってきましたので、一般家庭用の刃物として購入できるようなものとしては、あまり認知度はないかと思います。
岐阜県の関市では時代の流れの中で、いち早く生産の自動化に力を入れ、量産する技術に長けていますので、広く一般で使われる刃物の産地としては有名です。
そういう意味で刃物における日本の関、世界の関と言われる所以ではないでしょうか。

Q、堺の包丁がプロの料理人から特に支持をうける理由は何ですか?

A、もちろん切れ味ですが、切れ味といっても良く切れればそれでいいというわけではないんです。
生魚などを切った面の状態が美しいか、それが全てになってきます。
包丁には両刃と片刃がありますが、プロの料理人でなければ扱いの難しい片刃の庖丁を作らせれば堺は他に負けないと思います。
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Q、職人をずっと続けてきて、一番辛かった時代はいつ頃ですか?

A、特になかったですね。(笑)仕事を始めたきっかけは、親父の後を継いだというだけのことでしたし、私はあまり若い頃に仕事をしなくて、月に10日働けばいいところでしたよ。(笑)
しかし、仕事をし始めてすぐに親父が病気になったので、教えてもらえる人がいなくて思い出しながら見よう見まねで自分の仕事を完成させてきました。
苦労というよりはツキがなかったかなあとは思いますね。

Q、そういった事を経て伝統工芸士として認定されましたが、ご自信で「一人前になった」と感じたのはいつ頃からですか?

A、若い頃に遊びすぎてたので・・・あまりそういったことを考えたことはなかったんですが・・・(笑)
気が付けば伝統工芸士として認定され、堺刃物協同組合 理事に選ばれるなど周りからそのように声をかけていただけるようになるたびに、自覚がでてくるようにはなりました。
ただ、堺刃物協同組合とはいっても私は競争組合だと思っていますので、皆で切磋琢磨し、一人前だとは思わずに日々仕事の質を高めていくという意識をもちつづけています。
他の職人が10枚砥ぐのであれば自分は12枚砥げるようにしよう。他の職人が1000円でうけている仕事であれば、自分は1200円払ってもらえるような仕事をしよう。
そういった負けん気が大切です。

Q、職人として最も嬉しいことは何ですか?

A、やはり自分の仕事を褒めてもらえた時が一番嬉しいです。
堺の刃物つくりは“鍛治”と“研ぎ”が別々なので、研ぎ士がどれほど良くやっても、鍛冶屋がだめだったら良いものができないです。
そのまた逆もいえますが、我々のものづくりは2つで1つなので、鍛冶屋を選ぶ目を持つことも研ぎ士の腕なんです。
鍛冶屋のうったものを研ぎ師が研ぐ。その段階で鍛治屋の仕事の良し悪しが研ぎ師には見えてきます。
古くから伝わる日本刀にはよく名前が掘ってありますよね?あれはその刀を作った人が“その刀を使って負けた場合は責任をとります”という意味だと思うんです。
我々のつくる庖丁にも名前を入れ、それだけの責任をもって日々仕事に取組んでいます。

Q、最後に森本刃物製作所の今後のビジョンをお教えいただけますでしょうか。

A、ビジョンというより願望になりますが、今は国の方針で、売れるものを作れとかいうようなことを言われますが“本物の仕事”を見る機会というのがあまり無いんです。
そういう意味で“作り手が見える場所”というのがほしいですね。我々、伝統工芸士が働いている場所である、工場とかは人様に見てもらうような場所ではないんですよね。
仕事をする場所なので、1人や2人くらいは来てもらっても大丈夫ですが、大勢はとても対応できないですからね。


本日はありがとうございました。

【森本刃物製作所】
http://www.morimotohamono.com/

【森本刃物製作所の仕事】
http://www.morimotohamono.com/slideshow/#0

posted by Factory-ONE 電脳工場 メールマガジン編集者 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 突撃取材
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